ADR(裁判外紛争解決手続)

目次

用語の定義

ADR(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決手続)とは、裁判によらずに当事者間の紛争を解決するための制度や手続きを指します。 主に「調停(Mediation)」「仲裁(Arbitration)」「あっせん(Conciliation)」などが含まれ、 中立的な第三者の関与によって迅速かつ柔軟な解決を図ることを目的としています。

日本では、2007年に「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)」が施行され、 公的な裁判手続に代わる新たな紛争解決手段として制度化されました。 労働分野でも、雇用トラブルやハラスメント、解雇・賃金紛争などの個別労働紛争を 簡易・中立・低コストで解決する手段として広く活用されています。

注目される背景

労働紛争の多様化と増加

働き方の多様化やコンプライアンス意識の高まりにより、 労働時間、パワーハラスメント、雇用契約の不利益変更など、 個別労働紛争の件数は年々増加しています。 裁判に比べて迅速・柔軟に解決できるADRの利用は、企業・労働者双方にとって リスクとコストを抑えながら関係修復を図る有効な手段となっています。

企業コンプライアンスとリスクマネジメント

ADRの活用は、訴訟による公的紛争化を避け、企業の社会的信用を守る手段としても注目されています。 特にハラスメント対応や内部通報制度と連動する形で、 第三者機関による公正な紛争解決プロセスを確保することが、 「信頼される労務ガバナンス」として位置づけられつつあります。

労働局など公的ADR機関の拡充

都道府県労働局に設置されている「総合労働相談コーナー」では、 個別労働紛争解決制度(あっせん)が無償で提供され、利用件数は年間10万件を超えています。 また、弁護士会や専門機関による民間型ADRも拡大しており、 企業が自主的に設ける社内ADR制度(社外相談員制度など)も増加しています。

法務・人事連携による予防的対応の重要性

ADRは「紛争解決手段」であると同時に、「紛争予防手段」としても機能します。 人事部門は、社員との対話や相談体制の整備、ハラスメント教育の実施などを通じて 紛争を未然に防ぐ体制を構築することが求められます。 そのうえで、万が一のトラブル発生時にADRを適切に活用できるよう、 法務・コンプライアンス部門との連携が欠かせません。

関連する用語

  • 労働審判(Labor Tribunal):裁判所が行う迅速な紛争解決手続。ADRと並ぶ個別労働紛争の主要手段。
  • 個別労働紛争解決制度(Individual Labor Dispute Resolution System):労働局が実施する無料のあっせん制度。ADRの一種。
  • ハラスメント防止法(Act on Power Harassment Prevention):職場でのパワハラ・セクハラ防止を企業に義務付ける法制度。
  • 内部通報制度(Whistleblowing System):法令違反や職場不正を従業員が通報できる制度。ADRと併用されることが多い。
  • 労働局あっせん(Labor Bureau Mediation):都道府県労働局が提供する公的ADR制度。申請無料で迅速な対応が可能。

ADR(裁判外紛争解決手続)は、訴訟に頼らない新しい「対話型の紛争解決文化」を築く仕組みです。 企業においても、リスク管理・労務コンプライアンス・心理的安全性の確保という観点から、 ADRの理解と活用が今後さらに重要になると考えられます。

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