エンゲージメント施策は、組織の成果や社員の定着・活躍に直結する重要な取り組みですが、設計や運用を誤ると効果が出にくく、逆に社員の不満を招くこともあります。代表的な失敗例を整理すると、以下のようなポイントが挙げられます。
①一過性・イベント型施策に偏る
社員アンケートやワークショップ、懇親会などの施策を単発で実施しても、長期的なエンゲージメント向上にはつながりません。
・年1回のサーベイだけで終わり、フォローアップや改善策を実行しない
・一時的なイベントは盛り上がるが、日常の行動や組織文化には反映されない
施策は日常業務や組織文化に落とし込み、持続的に運用することが重要です。
②社員の実態や課題を無視した施策設計
組織や社員のニーズを把握せず、経営層や人事の「思い込み」で施策を設計すると、効果が限定的になります。
・「楽しそうだから」といったイベント中心の施策で、仕事のやりがいや課題解決にはつながらない
・社員が求めている成長機会や評価制度の改善と乖離している
現状分析や社員アンケート、1on1面談を通じて課題を正確に把握した上で施策を設計することが重要です。
③評価・報酬制度と連動していない
行動や成果を評価・承認する仕組みが伴わないと、施策の効果は一過性で終わります。
・「エンゲージメント向上のために褒める文化」を導入したが、評価制度は従来通りで報酬や昇進に反映されない
・社員が「行動しても認められない」と感じ、施策への納得感が低下
行動・制度・評価をセットで設計し、社員の努力や貢献が確実に認められる仕組みを作ることが重要です。
④トップ・現場の連携不足
経営層が施策の重要性を理解しても、現場マネージャーが実務に落とし込まなければ効果は出ません。
・サーベイ結果を経営層だけで分析し、改善施策が現場に浸透しない
・マネージャーが忙しさから施策の運用を後回しにする
経営層・人事・現場が連携し、施策の目的・方法・期待効果を共有した上で運用することが重要です。
⑤成果の可視化・改善サイクルがない
エンゲージメント施策はPDCAサイクルを回さなければ定着せず、改善も進みません。
・施策実施後に効果を測定せず、改善策を打たない
・社員の変化や課題を追わないため、施策が形骸化
施策前後の定量・定性データを測定し、効果の可視化と改善策の実行を継続することが重要です。
これらを踏まえることで、単発イベントではなく、持続的に社員の主体的な関与や貢献を促す施策として定着させることが可能です。
※弊社研究員の見解と異なる回答の場合がございます。あらかじめご了承ください。