人事にまつわるQ&A

Q リスキリングを始める前に企業がまず行うべきことを教えてください
A

リスキリングを成功させる第一歩は、「何を学ばせるか」ではなく「なぜ学ぶのか」を明確にすることです。
そのためには、経営戦略と人材戦略を結び付け、リスキリングを“経営施策”として設計する必要があります。

まず、経営や事業の中期的な方向性を整理し、将来的に求められるスキル領域(デジタル・グリーン・グローバルなど)を特定します。
次に、現状の人材構成・スキル分布・業務構造を可視化し、将来的なスキルギャップを把握します。
最後に、「どの職種の、どの層に、どのようなスキルを、いつまでに」身につけさせるのかというロードマップを描きます。

この設計を経ずに研修やEラーニングを導入しても、投資対効果が見えにくく、学びが現場で活かされません。
リスキリングを“教育施策”から“経営実装プロセス”に格上げすることが、企業変革のスタートラインです。



※弊社研究員の見解と異なる回答の場合がございます。あらかじめご了承ください。

Q リスキリング施策でよくある失敗例を教えてください
A

リスキリングは「将来の事業成長に向けて、人材が新しいスキルを身につける」ための重要な経営テーマですが、形だけの取り組みになりやすく、期待した成果が出ないケースも多く見られます。 失敗の多くは、戦略との接続不足・社員目線の欠如・運用の継続性の欠落 に起因します。以下に代表的な失敗例とその背景を示します。

①経営・事業戦略と連動していない
もっとも多い失敗が、「リスキリングの目的が不明確」なまま研修を実施してしまうケースです。
・トレンドスキル(AI・DXなど)をテーマにしただけの学習メニュー
・「学ばせたこと自体」が目的化し、事業や業務への活用設計がない
まず経営・事業戦略と人材戦略を結び付け、「どのスキルを・どの職種に・どの段階で」習得させるかを明確にすることが必要です。

②社員の関心・レベルを無視した一律設計
全社員に同じ研修を提供しても、学習意欲やスキルレベルにばらつきがあり、効果が限定されます。
・初心者・経験者を問わず同一内容を受講
・受講後に実務で活かす機会がなく、知識が定着しない
社員のスキル診断を行い、レベル別・役割別のカリキュラムを設計することが重要です。また、受講者が「自分のキャリアとどう関係するのか」を理解できるよう支援することも効果的です。

③学習機会を提供して終わりになる
「研修を実施した=リスキリング完了」として終わってしまうと、スキル定着にはつながりません。
・eラーニングを提供するが受講率が低い
・学んだ内容を現場で使う場がなく、モチベーションが維持されない
学習後に実践機会(プロジェクト・業務改善提案など)を設け、上司のフォローを仕組み化することでスキルの定着率が大きく向上します。

④マネジメント層の理解・支援が不足してい
リスキリングは現場の協力が不可欠ですが、管理職が重要性を理解していないと現場実行が進みません。
・現場上司が「本業の時間を削る」として部下の学習を後回しにする
・研修受講後も、スキルを活かせる業務アサインが行われない
マネージャー層に「リスキリング=業務成果につながる投資」という認識を浸透させる教育・仕組みが必要です。

⑤成果の可視化・継続的改善がない
リスキリングの効果を測定せず、継続的な改善が行われないと施策が形骸化します。
・「受講人数」や「満足度アンケート」だけで評価が完結
・習得スキルが業務成果やキャリア進展にどう寄与したかを追跡していない
学習データと人事データ(評価・異動・昇進など)を連携させ、学びの成果を定量的に可視化することが重要です。



※弊社研究員の見解と異なる回答の場合がございます。あらかじめご了承ください。

Q エンゲージメントを組織文化に根付かせるために必要な施策を教えてください
A

組織文化にエンゲージメントを根付かせるには、単に制度や施策を導入するだけでは不十分です。日常の行動や意思決定、価値観にまで落とし込み、組織全体で一貫性を持たせることが重要です。具体的には以下の3軸で取り組むと効果的です。

①行動のモデル化(リーダーシップの役割)
経営層やマネージャーがエンゲージメントを意識した行動を率先して示すことが大切です。
例えば、定期的な1on1面談で個々の目標や悩みを丁寧に確認する、成果を日常的に承認・フィードバックする、といった具体的な行動が、社員に「こういう行動が組織で評価される」というメッセージを送ります。
リーダーが意識的に行動することで、社員は自然とエンゲージメントに沿った行動を学び、模倣するようになります。

②成功事例の共有と制度設計の連動
社内でエンゲージメント向上に成功した事例やベストプラクティスを定期的に共有することで、社員が行動のモデルを理解しやすくなります。
たとえば、プロジェクトでチームメンバー同士のコミュニケーションを重視した結果、目標達成率が向上した事例などを共有すると、「エンゲージメントを意識した行動=成果につながる」という理解が浸透します。
また、評価制度や報酬制度とも連動させることで、エンゲージメント行動が形骸化せず、組織の行動規範として定着します。

③成果の可視化と継続的改善
エンゲージメント施策の効果を定期的に測定・可視化することも重要です。
社員アンケート、1on1のフィードバック記録、離職率や生産性の指標などを活用し、施策の成果や課題を可視化します。
その上で、施策内容や運用方法を改善し続けることで、組織文化としての定着度が高まり、持続的なエンゲージメント向上につながります。



※弊社研究員の見解と異なる回答の場合がございます。あらかじめご了承ください。

Q エンゲージメント施策でよくある失敗例を教えてください
A

エンゲージメント施策は、組織の成果や社員の定着・活躍に直結する重要な取り組みですが、設計や運用を誤ると効果が出にくく、逆に社員の不満を招くこともあります。代表的な失敗例を整理すると、以下のようなポイントが挙げられます。

①一過性・イベント型施策に偏る
社員アンケートやワークショップ、懇親会などの施策を単発で実施しても、長期的なエンゲージメント向上にはつながりません。
・年1回のサーベイだけで終わり、フォローアップや改善策を実行しない
・一時的なイベントは盛り上がるが、日常の行動や組織文化には反映されない
施策は日常業務や組織文化に落とし込み、持続的に運用することが重要です。

②社員の実態や課題を無視した施策設計
組織や社員のニーズを把握せず、経営層や人事の「思い込み」で施策を設計すると、効果が限定的になります。
・「楽しそうだから」といったイベント中心の施策で、仕事のやりがいや課題解決にはつながらない
・社員が求めている成長機会や評価制度の改善と乖離している
現状分析や社員アンケート、1on1面談を通じて課題を正確に把握した上で施策を設計することが重要です。

③評価・報酬制度と連動していない
行動や成果を評価・承認する仕組みが伴わないと、施策の効果は一過性で終わります。
・「エンゲージメント向上のために褒める文化」を導入したが、評価制度は従来通りで報酬や昇進に反映されない
・社員が「行動しても認められない」と感じ、施策への納得感が低下
行動・制度・評価をセットで設計し、社員の努力や貢献が確実に認められる仕組みを作ることが重要です。

④トップ・現場の連携不足
経営層が施策の重要性を理解しても、現場マネージャーが実務に落とし込まなければ効果は出ません。
・サーベイ結果を経営層だけで分析し、改善施策が現場に浸透しない
・マネージャーが忙しさから施策の運用を後回しにする
経営層・人事・現場が連携し、施策の目的・方法・期待効果を共有した上で運用することが重要です。

⑤成果の可視化・改善サイクルがない
エンゲージメント施策はPDCAサイクルを回さなければ定着せず、改善も進みません。
・施策実施後に効果を測定せず、改善策を打たない
・社員の変化や課題を追わないため、施策が形骸化
施策前後の定量・定性データを測定し、効果の可視化と改善策の実行を継続することが重要です。

これらを踏まえることで、単発イベントではなく、持続的に社員の主体的な関与や貢献を促す施策として定着させることが可能です。



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Q リモートワーク中心の業務の中で社員のエンゲージメントを維持するために必要なことは何ですか
A

リモートワークが普及する中、社員の物理的な距離が増えることで、従来のオフィス環境に比べてエンゲージメントを維持するのが難しくなります。
エンゲージメントを高めるためには、制度・行動・コミュニケーション・成長支援を組み合わせた多面的なアプローチが有効です。

①定期的かつ質の高いコミュニケーション
リモート環境では社員同士や上司との接点が減るため、コミュニケーションの頻度と質を意識する必要があります。
・1on1面談の定期実施で業務状況や悩みを確認
・チームミーティングで進捗だけでなく雑談や雑感も共有
・オンラインツールを活用して気軽に意見交換できる環境を整備
これにより、社員は「自分の声が組織に届く」と感じ、心理的なつながりを維持できます。

②成果や貢献の可視化と承認
リモートでは成果が目に見えにくくなるため、意図的に可視化し、承認することが重要です。
・週次レポートやオンラインダッシュボードで個人・チームの成果を共有
・社内ニュースやチャットで成功事例を紹介し、努力や成果を称賛
・上司からのフィードバックをタイムリーに行い、貢献意欲を強化

③心理的安全性の確保
オンライン環境では意見を言いにくい場合があるため、心理的安全性を意識した環境づくりが必要です。
・失敗や課題も共有できる文化の醸成
・「質問・相談歓迎」のメッセージを繰り返し発信
・チーム内で互いに支援し合う仕組みを作る

④成長・キャリア支援の強化
リモートワークでは社員が孤立しやすく、成長実感が減少するとエンゲージメント低下につながります。
・オンライン研修やeラーニングでスキル向上をサポート
・プロジェクト参画や社内ジョブローテーションで挑戦機会を提供
・メンターやコーチによる定期フォローで成長を確認

⑤組織文化やつながりの意識的醸成
オフィスにいないことで「組織との一体感」が薄れるため、文化や価値観の浸透が重要です。
・オンラインイベントやバーチャル懇親会で交流を促進
・会社のビジョン・目標・価値観を定期的に発信
・社員の行動や成功事例を社内で共有し、モデルとして示す

リモートワークでも、これらの施策を組み合わせることで社員が主体的に組織に関わり、持続的に高いエンゲージメントを維持することが可能です。



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