Q : リスキリング施策でよくある失敗例を教えてください

リスキリングは「将来の事業成長に向けて、人材が新しいスキルを身につける」ための重要な経営テーマですが、形だけの取り組みになりやすく、期待した成果が出ないケースも多く見られます。 失敗の多くは、戦略との接続不足・社員目線の欠如・運用の継続性の欠落 に起因します。以下に代表的な失敗例とその背景を示します。

①経営・事業戦略と連動していない
もっとも多い失敗が、「リスキリングの目的が不明確」なまま研修を実施してしまうケースです。
・トレンドスキル(AI・DXなど)をテーマにしただけの学習メニュー
・「学ばせたこと自体」が目的化し、事業や業務への活用設計がない
まず経営・事業戦略と人材戦略を結び付け、「どのスキルを・どの職種に・どの段階で」習得させるかを明確にすることが必要です。

②社員の関心・レベルを無視した一律設計
全社員に同じ研修を提供しても、学習意欲やスキルレベルにばらつきがあり、効果が限定されます。
・初心者・経験者を問わず同一内容を受講
・受講後に実務で活かす機会がなく、知識が定着しない
社員のスキル診断を行い、レベル別・役割別のカリキュラムを設計することが重要です。また、受講者が「自分のキャリアとどう関係するのか」を理解できるよう支援することも効果的です。

③学習機会を提供して終わりになる
「研修を実施した=リスキリング完了」として終わってしまうと、スキル定着にはつながりません。
・eラーニングを提供するが受講率が低い
・学んだ内容を現場で使う場がなく、モチベーションが維持されない
学習後に実践機会(プロジェクト・業務改善提案など)を設け、上司のフォローを仕組み化することでスキルの定着率が大きく向上します。

④マネジメント層の理解・支援が不足してい
リスキリングは現場の協力が不可欠ですが、管理職が重要性を理解していないと現場実行が進みません。
・現場上司が「本業の時間を削る」として部下の学習を後回しにする
・研修受講後も、スキルを活かせる業務アサインが行われない
マネージャー層に「リスキリング=業務成果につながる投資」という認識を浸透させる教育・仕組みが必要です。

⑤成果の可視化・継続的改善がない
リスキリングの効果を測定せず、継続的な改善が行われないと施策が形骸化します。
・「受講人数」や「満足度アンケート」だけで評価が完結
・習得スキルが業務成果やキャリア進展にどう寄与したかを追跡していない
学習データと人事データ(評価・異動・昇進など)を連携させ、学びの成果を定量的に可視化することが重要です。



※弊社研究員の見解と異なる回答の場合がございます。あらかじめご了承ください。

カテゴリーからQ&Aを探す

貴社の人事課題に、専門コンサルタントが的確に対応いたします。
まずはお気軽にお問い合わせください。